【国際公募AIR 招聘アーティスト】
⚫︎ エリス・イーラエット Elise Eeraerts(ベルギー)
<プロフィール>
1986年ベルギー、メッヘレン生まれ。現在はアントワープを拠点に活動する。2009年Luca School of Arts(ブリュッセル)ビジュアルアーツ卒業。2011年にはDAADの助成を受けThe Institute fur Raumexperimente(ベルリン)、オラファー・エリアソンのクラスを修了。またベルリン滞在中に、EUのレオナルド・ダヴィンチ職業研修プログラムの助成によりカールステン・ニコライでのインターシップを経験する。エリス・イーラエットは、モニュメントのような、空間に割入っていくような抽象彫刻を用いて、複数領域を横断するアーティストである。また、小さなオブジェの平面作品やビデオなどのタイムベースドな作品を通して現実的な認識を表現している作品を制作している。
<プロジェクト概要>
北海道ニセコ町で雪原の中、プロジェクト・パートナー(ロベルト・アパリシオ Robert Aparicio)とともに数日間の滞在制作を実施した。北海道博物館でみた地層標本(剥ぎ取り)の手法に魅せられ、この技法に関してのリサーチと実践を行った。滞在制作活動成果展ではニセコでの制作からビデオ作品を発表する。
⚫︎ マドゥ・ダス Madhu Das(インド)
<プロフィール>
1987年生まれ。インド・ムンバイ在住。さまざまな宗教や言語が混在しながら1つの国を形成しているインドに暮らし、人類学や寓話の手法を観念的に用いて、個人と社会、自然との関係を言葉やイメージで可視化する。空間の特性を読み取り、しばしば自分の身体を用いて、その空間が持つ記憶や歴史について問いかける。インド各地で滞在制作を行い、イギリスや台湾での滞在プログラムにも参加している。主な滞在制作や展覧会に、HH Art Spaces(ゴア|インド)、DELFINA FOUNDATION(ロンドン|UK)、BAMBOO Curtain Studio(新北|台湾)、Harvard South Asia Institute for the Emerging South Asian Visual Artists Programなどがある。
<プロジェクト概要>インドのアーティスト、マドゥ・ダスは、アーティスト・イン・スクール・プログラムの招聘作家として、初めて日本を訪れた。澄川小学校の5年生のクラスに通い、子どもたちとの交流を通して、日本の教育の現場を観察した。旧校舎での思い出を描いた子どもたちの絵を元に立体作品を制作し、約1ヶ月半にわたる滞在活動の成果を小学校の一室で発表する。
On ne répond pas à la question — Contre toute attente, on procède. (2017)
Performance by Journée sans culture (#Ownit) Collective project with François Lemieux.
Courtesy of the artists. Photo credit : François Lemieux
⚫︎ フランソワ・レミュー Francois Lemiex(カナダ)
<プロフィール>
1979年カナダ、ケベックシティ生まれ。現在モントリオールを拠点に活動。
社会的実践、出版物およびリサーチを融合させ、共通性と価値概念についての集団的思考を誘発させるような展覧会、記録映像または出版物、状況を作り上げている。アーティストコレクティブ journee sans culture (文化の無い日)、ACTION INDIRECTE、Entrepreneurs du Commun collectivesの設立メンバー。We left the warm stable and entered the latex void (2008-2010)などのプロジェクトを始動。出版物Le Merle, Cahiers sur les mots et les gestesの共同編集者でもある。
<プロジェクト概要>
今回の滞在制作期間では、結晶化についてのリサーチを行った。物理的、化学的なプロセスは、その場の環境(気温、気圧、湿度など)に大きく影響される。また、複雑なプロセスが目に見える形になることを結晶化というメタファーとして採用できると考えた。アイデア、友人関係、集団としてのプロジェクト、学びのプロセス、都市、ネットワークなども結晶化と呼べるだろう。滞在制作活動成果発表期間の展示で取り扱った素材などは、そのまま滞在制作活動のプロセスのスケッチである。
⚫︎ コンスタンス & アレクサンダー・ヒンフライ Constance & Alexander Hinfray(オーストリア)
<プロフィール>
コンスタンスはビジュアル、パフォーマンス アーティスト。2014年Quimper Art school(フランス)を卒業後、2017年Sandberg Institut(アムステルダム)を修了。主なリサーチ対象はインターネットにおける伝承、森林エコシステムの知能。アレクサンダーは情報科学者。数の文化と植物の知性に関心がある。マネージメントを勉強後、オーストラリアのリンツを拠点に活動。
1960年頃、農学者の祖母がメキシコ付近でバルバスコのプランテーションで働いていた。(バルバスコという植物の根には天然の黄体ホルモンが含まれており、この成分から世界初の避妊薬が作られた)。私たちは、ヒンフライ家に伝わる詩や植物に対する好奇心を祖母のカレン、母のオダから受け継ついだ。このプロジェクトは、植物に関わる古く馴染みある文化およびドイツのロマン主義との関係性を現代の言葉に翻訳する試みである。アレクサンダーは、オーストリアのリンツを拠点に活動している。
<プロジェクト概要>
「Under the s(k)now blossom the abandoned. -雪の下で咲く、見捨てられたもの」というタイトルで制作されたパフォーマンス・シリーズを発表する。オーストリアと日本に生息する、どこにでも生えている私たちの身近にある植物にインスピレーションを受けてパフォーマンス作品を制作した。
【国際公募プログラム選考委員/トークゲスト】
◼︎ 山本高之(アーティスト)
<プロフィール>
1974年 愛知県生まれ。愛知教育大学大学院修了後渡英、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA終了。小学校教諭としての経験から「教育」を中心テーマのひとつとし、子どものワークショップをベースに会話や遊びに潜む創造的な感性を通じて、普段は意識されることのない制度や慣習などの特殊性や、個人と社会の関係性を描く。近年は地域コミュニティと協働して実施するプロジェクトに多く取り組んでいる。主な展覧会に「Go Betweens 子どもを通して見る世界」(森美術館ほか2014-2015)、コチ=ムジリス・ビエンナーレ(インド 2016)、Asian Art Award 2017(寺田倉庫アートスペース 2017)など。近著に『芸術と労働』(共著、白川昌生+杉田敦編、水声社 2018)。
【s(k)now 2018-2019 国際公募アーティストと同時期滞在の日本人アーティスト】
◼︎南 隆雄(アーティスト、パリ/大阪)
<プロフィール>
1976 年大阪生まれ。現在パリと大阪を拠点に活動している。映像や音響の存在論を考察した静謐なインスタレーションやヴィデオ作品で知られる。これまで個展をオオタファインアーツ(2016他)、水戸芸術館(2010)、ゲーテインスティテュートハノイ(2009)などで行う。 また第 12 回リヨンビエンナーレ( 2013)などの国際展にも参加、国立新美術館(2016)、上海 21 世紀民生美術館(2016)、ピノー財団パラッツォグラッシ美術館(2014)などのグループ展において近年は作品を発表している他、世界各地のアーティストインレジデンスに招聘され滞在制作も行う。
<プロジェクト概要>
2018年度は文化庁の支援を得て、秋季10月-12月と冬季1月-3月(2018-2019 s(k)now)の2回に渡り、招聘型AIRプログラムを実施した。海外招聘アーティストと同時期に滞在し国際プログラムを経験すること、またAIRのポストアカデミー効果を狙って、お互いが学び合う交流を促進するため、各プログラムに、すでに国内外で活動を行っている日本のアーティストが参加した。冬季のAIRプログラムs(k)nowには、南 隆雄が参加し、北方地域にフォーカスしたプロジェクトのための制作を北海道立北方民族博物館の多大な協力を得て実施することができた。なお、活動成果は2月16日(土)に北海道大学総合博物館 山下 俊介氏を迎えた成果報告トークで発表された。