続けるための記録について_AIR勉強会002
トーク&レクチャー
ドキュメントとアーカイヴの活用/データベース構築と公開メディア(ウエブサイト)運営_Trans Artistsの公共性
アムステルダムで1997年にボランティアの有志によってスタートした、アーティスト視点によるアーティストのためのアーティスト・イン・レジデンスプログラムを活用するためのデータベースを構築し、2019年の現在まで22年間に渡り広く公開する活動を続けているTrans Artists(トランス・アーティスツ、以下TA)のウエブサイト運営を題材に、この運営に初期から参加しているアーティストのハイジ・ヴォーゲルさんをお迎えしてお話を伺います。
これまでに、どれくらいたくさんのアーティストが、TAを通じて世界中に存在するAIRに出会い、実際にAIR経験してきたことでしょうか!アーティストにとっては、改めて「AIRを探す」ためのツールであるこの巨大データベースの使い方を知る機会になり、アーティスト自らがサバイバルのひとつとして興したこの活動が、なんだかの参考になるかもしれません。またTAはアーティストのためのAIR情報の集積だけではなく、ネットワーキングの試みなど、AIRを取り巻く多岐にわたる「中間支援」活動を並走させています。これらの取り組みのドキュメントもまた、ウエブサイトを通して公開されています。TAは世界中のアーティストから絶大な支持を得ているにもかかわらず、我々と同様に組織運営は消して安定したものではなく苦労が絶えません。いわばオンゴーイングのアートプロジェクトの記録とその活用そのものともいえるのがTAの活動です。アートプロジェクト、アーティスト・イン・レジデンスを運営する人にとっては、TAの「事実を記録し、情報として発信する(活用する)」態度と方法論、活動・組織の継続の紆余曲折の経緯から、みなさんそれぞれの地道な活動をどうすれば長期的に運営していくことができるのか考えるヒントやきっかけを得る機会となるかもしれません。
Trans Artists https://www.transartists.org/
ハイジ・ヴォーゲル https://www.heidivogels.nl/
日時:2019年2月10日(土)16:00-
会場:さっぽろ天神山アートスタジオ
参加費:無料
予約フォーム:https://goo.gl/forms/WLr7Vb6KmCwK7DvY2
※お電話・メールでも予約を受け付けております。
定員:25名(先着順)定員に達し次第締め切ります。
対象:AIR事業運営者、AIR事業をはじめようとしている方、アートプロジェクト運営者、アーティスト、研究者など、現場と記録活動に関心のある個人・団体、さっぽろ天神山アートスタジオに興味関心のある個人・団体
参加条件:参加にあたり、参加者名簿にお名前・所属先・団体名などを記載いただきます。これらの情報とともに、本プログラムは動画記録されます。記録された動画データは後日ウエブサイトで公開されるため、記録映像に参加者が入り込むこと、参加者の発言などが記録され公開されることに「同意」できることを参加条件とします。
AIR勉強会概要:
・「終わっていない=プロセス」そのものであるAIR現場において、〈①AIR事業〉、〈②レジデント(アーティスト)の活動〉、この2つのプロセスを可視化することはできないだろうか。
・忙しい現場運営の中で、記録作業とその記録の活用をするためにはどうしたらいいのか。
・すぐに役に立つ使い方はないだろうか。
・なにを記録すると有効なのか。
・ほかのAIRやアートプロジェクトの現場はどのように作業し、活用しているのだろうか。
博物館、美術館、資料室で実践されている従来の精密なアーカイヴ手法はそのまま運用するのが難しいと実感しています。形に残らないもの、進行形のプロジェクト、アーティスト・キャリアのある段階を可視化してみたい。これらを記録し保存し管理して利活用することができるのか。その作業を忙しい現場でも喜びに変えて記録し、編んで、しっかりと活用していくための手法を講師と参加者のコミュニケーションを通して学びあう勉強会です。
ハイジ・ヴォーゲル略歴:
Heidi Vogels (1978, NL) studied Fine Arts at the Gerrit Rietveld Academy in Amsterdam.
Heidi Vogels is an artist, filmmaker and organizer. In her artistic work she applies photography, film and other forms of research by seeking to redefine the outlook on our day-to-day reality and surroundings. By engaging in projects within a certain place or context for a longer period of time (sometimes years), she constructs an intimate ‘world’ of relations between thought, encounters and situations. Rooted in a solid conceptual basis, her work consist of multi-layered stories that take different form according to each location, context and audience. Oftentimes collaborations are developed in the related domains of cinema and theory. Currently she is working in the final stages of the documentary film – essay Gardensoffez and pursues further steps in her research to open up the garden as a productive concept following the notions of cinema and friendship.
Over the years Vogels developed research based projects in Berlin (Traumgarten), Barcelona (Borrowed View series), Terrassa (Wall, Ceiling, Blanket, Dress, Rehearsal), Seoul (Narrating Melancholy), in the Netherlands (Garden Perspectives, Folding Landscapes) and in Morocco (Gardensoffez). Recently she co-directed and developed Cracking The Frame Presents, a program of screenings, talks and events investigating the connections between documentary film and visual arts.
主催:AISプランニング/札幌市、さっぽろ天神山アートスタジオ
企画:小田井真美(アートとリサーチセンター)
助成:駐日オランダ大使館
支援:文化庁/平成30年度 文化庁 アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業